そこで文に立ちふさがるのは、院長・遠山凜(仲里依紗)だった。クリニックの先代(渡部篤郎)から「神の手」を継承したカリスマ美容医だ。
「この世界に病気じゃない人なんていないから」そう言い放ち、次から次へと患者を受け入れていく凛。どうしても倫理的に整形を受け入れがたい文。美に対する天井知らずの欲望のるつぼに、隠蔽、ネットを使った暴露、炎上等、人間のダークな感情が投げ込まれ、ぐつぐつと煮込まれ、壮絶な地獄絵を作り出す。
登場する患者たちは誰もが切実で、そして恐ろしいまでの決死の覚悟で手術台に上がる。
・健康を害してでも完璧な天然美を装いたいモデル
・パパ活で資金を稼ぎ、オーディション合格を目指す声優の卵
・夫の死後、若返りをはかる80代の老女
・つつましく生きてきた主婦
・起死回生をかける元人気子役
・離婚して離れ離れになった子どもに会うため、整形を繰り返すキャバ嬢
誰もが凄まじい執念で整形に臨む。圧倒的な美を手に入れるには、身体的にも精神的にも苦痛が伴う。そして膨大な金銭的負担も。それでも彼女たちは顔にメスを入れるのだ。
子役出身の松岡茉優と安達祐実の「怒号の応酬」は見もの
決して「整形を推奨するドラマ」ではない。むしろ、安易な整形に警鐘を鳴らす社会派ドラマの側面を見せながら、視聴者が惹きつけられてやまないのは、そこに人間の業がむきだしになっているからだ。
パパ活で整形費用を作った声優の卵が、ライバルの裏切りに遭って掴み合いになり、手術直後の顔が壊れてしまう恐怖も圧巻だった。
なにより見入ってしまうのは、整形依存に陥って病院にクレームをつけまくり、ブラックリスト入りした困った患者を演じる安達祐実の凄絶な演技だ。まるでティム・バートンの異形キャラのようなビジュアルの完成度と、やさぐれ感の迫力に圧倒された。


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