今年もインフルエンザワクチンの接種が始まった。筆者の外来でも、「今年も打ったほうがいいですか」と聞いてくる患者が増えた。例年なら10月以降に増える質問だが、今年は事情が違う。インフルエンザの流行が異例に早く始まったからだ。
国立健康危機管理研究機構(JIHS)によると、今年第34週(8月17~23日)の全国の定点医療機関当たり患者報告数は1.11となった。全国的な流行入りの目安となる「1」を8月に超えたのは、新型インフルエンザが流行した2009年に次いで2番目に早い。
なぜ、これほど早く流行したのか。
新型コロナ流行後、海外からの人の往来や集団生活の正常化などで、インフルエンザの季節性が乱れ、夏にもウイルスが広がるようになったことなど、複数の要因が関係した可能性が指摘されているが、現時点ではっきりしたことはわかっていない。
ワクチンは打つ意味があるのか?
外来では毎年、こんな質問を受ける。「ワクチンを打ってもインフルエンザになるなら、打つ意味がありますか?」というものだ。「去年も打ったのにインフルエンザになったから、今年は打たない」という患者もいる。
筆者はそういうとき、「ワクチンはシートベルトのようなもの」と説明している。事故そのものをゼロにはできないが、事故に遭った際の被害を小さくすることはできる。
インフルエンザワクチンの効果は「かかりにくくする発症予防」と「かかった場合の重症化・死亡を防ぐ重症化予防」の2つにわけられる。


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