この喧嘩、実はギャラリーがいる。群れのほかのカラスたちが舞い降りて、周囲を取り囲んで見ているのだ。
「カラスの裁判」などと呼ばれるのは、おそらくこの状態だろうと思う。彼らはある意味、ジャッジであり、傍聴人である。待っているのだ。
敗者が決まるのを。
負けたら集団でボッコボコ
負けが確定すると、野次馬の1羽がそっと近づき、敗者の尾羽をくわえて引っ張る。仰向けで押さえつけられた敗者が「くわあ!」と声を上げるが、のしかかった勝者が威嚇するから動けない。すると別の野次馬も尻尾を引っ張りに来る。
敗者はたまらず、飛び起きて飛んで逃げる。勝者はそれを追い、さらに野次馬どもまでもがワラワラと追いかけて行く。
負けたら集団でボッコボコ。それが若いカラスの喧嘩である。
野次馬どもが尻馬に乗って手を出す理由はわからないのだが、ここで勝っておけば(自分の実力とは関係ないとはいえ)、勝者側に回れるのかもしれない。
こういった喧嘩による順位は一度決まるとなかなか覆らない――「負けた」という記憶が残るのだ。だから、ついでだろうがズルだろうが勝ったことにしてしまえば、間接的に自分のランクを上げられる可能性はあるだろう。


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