私たちの暮らしのなかで欠かせない住まい。安らげる場所であるだけでなく、心と体の健康を保つのにも大切な役割を果たしています。
断熱効果で部屋が寒くない、バリアフリーがあるなど、住宅の「ハード」が健康を守ることに疑いはありませんが、それらだけでは健康への寄与は語れません。実はそういう意味で、”団地”が今、注目されているのです。
持ち家より死亡リスクが低い
「最近、姿を見ないね」と気づいて声をかけてくれる人がいる。外に出ると知り合いがいて、あいさつを交わす人がいる――。孤立孤独を防ぐこと自体が、小さな安全網になることはよく知られていますが、まさにそれを体現しているのが、団地ではないでしょうか。
興味深い研究が2024年に日本の老年学研究グループから発表されました。自立して暮らす65歳以上の約4万4000人を、2010年から2019年まで約9年間追跡した研究です。
この研究期間中に亡くなった方は1万人あまり、全体の約24%でした。所得、既往症、抑うつ、社会参加、地域環境などを調整し、「持ち家」、「民間賃貸住宅」、もしくは「公的賃貸住宅(いわゆる団地)」による差を検討したところ、持ち家の人に比べ、民間賃貸住宅の死亡リスクは45%高かったのに対し、公的賃貸住宅では17%の高さにとどまりました。
さらに賃貸住宅だけを直接比較すると、公営住宅やURなどの公的賃貸では、民間賃貸より死亡リスクが20%低いという結果でした。
もちろんこれは観察研究なので、測定できなかった住民の違いが残っている可能性があり、「団地に引っ越せば寿命が延びる」という意味ではありません。それでも、計画的な都市開発による公的賃貸住宅の良好な近隣環境が、このような結果に寄与した可能性が指摘されています。


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