多くは観察研究なので、木が多いから寿命が延びると証明されたわけではありません。それでも、緑が健康につながる理由はいくつも考えられます。
まず、木陰は猛暑を和らげます。緑地は騒音や一部の大気汚染への曝露を減らす可能性があり、公園や遊歩道は歩くきっかけになります。景色を眺めて気持ちが落ち着く効果や、人との偶然の出会いを増やす作用もあるでしょう。
1つひとつの効果は小さくても、毎日暮らす環境だけに、何十年も積み重なれば無視できません。こうした「良好な環境が健康格差を縮小するのではないか」という仮説が、学術界で唱えられ始めているのです。
「顔見知りがいる町」と健康の関係
緑と並んで重要なのが、人とのつながりです。
静岡県の65~84歳の約1万1000人を追跡した2013年発表の研究では、「この地域の人は助け合っている」「信頼できる」と本人が感じているほど、その後の全死亡リスクが22%、心血管疾患死が25%、呼吸器疾患死が34%低いという結果になりました。一方で、地域住民の回答で得られた、地域全体のつながりの深さと死亡との関連は明確ではありませんでした。
つまり、 単に町内会や自治組織が存在するだけではなく、本人が「ここなら安心して暮らせる」と感じられることが重要なのかもしれません。
韓国の約63万6000人を調べた2020年発表の研究でも、地域への信頼が高い地域では全死亡リスクが16%低く、互いに助け合う「互酬性」の高い地域では20%低いという関連がみられました。喫煙や飲酒、身体活動などを考慮した後も関連は残りました。
孤立の問題を示した研究もあります。2026年に31カ国、8万を平均7年間追跡した研究では、社会的孤立のある人は33%、孤独を感じる人では25%、全死亡リスクが高くなっていました。


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