特に高齢期になると、住み慣れた地域で暮らし続けることにも意味があります。
いつもの道なら安心して歩けますし、店の場所やバスの時間を知り、困ったときに相談できる人もいます。長年眺めてきた桜や、子どもを遊ばせた公園は、自分自身の記憶とも結びついています。
東京の高齢者約3000人を5年間追跡した2002年の研究で、「今の地域に住み続けたい」と思っていることが生存率の高さと関連していたという報告があります。住み続けたいと答えたグループは、そうでないグループより生存率が数%ほど高かったのです。
住み慣れた場所は単なる背景ではなく、健康を支える資源なのかもしれません。
緑地近くの住居と寿命の関係
団地には緑も多いですが、緑の多い地域に住む人ほど死亡率が低いという研究は、世界各地から報告されています。
緑地と死亡との関係を調べた大規模な解析では、7カ国、約832万人を含む9件の追跡研究を統合したところ、自宅から500メートル以内の植生指数(人工衛星画像などで植物の分布や生育の状況を数値化した指標)が0.1高くなるごとに、全死亡リスクは約4%低くなっていました。
研究によるばらつきは大きいものの、9研究中7研究で、緑の多さと死亡リスク低下との間に統計学的に有意な関連が認められたのです。
中国・広州の高齢者を調べた2023年の研究でも、緑地へのアクセスが多い人ほど平均余命が長い傾向がみられました。とりわけ所得・資産や教育水準、居住環境、雇用形態といった面で社会経済的に不利な人で、関連が大きくなっていました。
さらに2026年の27研究をまとめた分析では、緑地へのアクセスが多い高齢者では、アルツハイマー病やうつ病が少ないという関連も示されました。


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