今年の夏、首都圏や北陸3県での集中豪雨をはじめ全国各地で記録的な大雨が相次いだ。8月の千葉県の豪雨では死者13人、9月の千葉県と神奈川県の豪雨では死者11人、行方不明3人が出る惨事となった。
今年に限らず、近年、極端な大雨が増えていると実感している人も多いだろう。実際、気象庁などの分析によると、国内の大雨の発生頻度は増えており、強い雨ほど増加率が高くなっている。
その背景にあるとみられるのが、人間の活動を原因とする地球温暖化だ。
しかし、気象の変化には、ジェット気流の蛇行のような大気の揺らぎに加えて、海面水温の変化や地形なども大きく影響する。ほかの要因もある中で、温暖化の影響はどれほど大きいのだろうか。ネパールで甚大な被害をもたらした氷河の崩壊による土石流も温暖化の影響なのだろうか。
そうした疑問に答えるための科学的手法に「イベント・アトリビューション(EA)」がある。実際に発生した極端な気象現象に対して、温暖化がどの程度影響を与えたのかを定量的に示す手法だ。
EAによる分析や情報発信をしている「極端気象アトリビューションセンター(WAC:Weather Attribution Center)」の共同代表、渡部雅浩・東京大学教授(気候科学)に、解析の手法や意義について聞いた(インタビューは9月4日に行なった)。
温暖化が進むと雨が増える理由
――そもそも、なぜ温暖化が進むと大雨が増えるのですか。
いちばんシンプルな説明は、大気中の水蒸気が増えるからです。一般的には、気温が1℃上がれば、大気中の飽和水蒸気量はおよそ7%増えます。何らかの原因で線状降水帯ができると、水蒸気をたくさん含んだ空気が入りこんでくるので、雨がより強くなります。
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