2025年、日本のたばこ市場は歴史的な転換点を迎えた。米フィリップ モリス インターナショナル(PMI)によれば、国内のたばこ販売本数のうち、加熱式たばこなどの割合が紙巻きたばこを初めて上回ったのだ。
「世界の主要市場で最も早く加熱式へのシフトが進んでいる」――。PMIのヤツェック・オルザックCEOがそう評する通り、日本は加熱式たばこにおける世界屈指の先進国である。
その日本市場を牽引する絶対王者が、PMIの「IQOS(アイコス)」だ。9月4日、東京・銀座の超一等地にオープンした「グローバルフラッグシップストア」は、同ブランドの勢いを象徴している。
店舗としては最大規模の投資となる同施設は、単なる販売店にとどまらず、嗜好に合わせた香りの提案や飲食を楽しめるカフェバーを併設。PMIは日本を最初の発信拠点とし、今後世界の主要都市へ同様の施設を5店舗ほど展開する構えだ。
PMIが築いた「加熱式=アイコス」の牙城
現在の国内加熱式市場は、PMIのIQOSが約7割のシェアを握る。次いでJT(日本たばこ産業)の「Ploom(プルーム)」が16.4%、英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)の「glo(グロー)」が14.3%と続く(25年時点・英調査会社ユーロモニター調べ)。
PMIの圧倒的優位は、第一走者としての先行者利益に起因する。14年、世界に先駆けて名古屋市等でIQOSをローンチ。「においや煙が少ない」「健康リスクの低減」という特長が日本人の配慮の文化に適合し、「たばこをやめてアイコスにした」というブランドイメージをいち早く定着させた。
近年はJTも28年までの3年間で計8000億円を非燃焼製品群へ投じるなど猛追し、グローのシェアを抜くなどの変動はあったが、IQOS一強の全体像は揺らいでいない。
「煙の出ない製品」への注力は各社共通だが、その戦略スタンスには明確な違いがある。
PMIは「煙のない社会」を標榜し、将来的な紙巻きたばこからの完全撤退を目指す。30年までにグループ売り上げの約67%を非燃焼製品に切り替える方針で、現在の非燃焼製品出荷数の85%以上をIQOSが占めるなど、一点突破の姿勢が鮮明だ。

