BATは30年までに非燃焼製品ユーザーを5000万人に拡大する目標を掲げる。海外展開する電子たばこ「Vuse(ビューズ)」や、オーラルたばこ「VELO(ベロ)」など、加熱式のグローだけに依存しない多角的なポートフォリオで、35年までに総収益の50%以上を非燃焼領域から生み出す戦略をとる(25年は18.2%)。
一方、JTは依然として売上収益の9割超を世界の紙巻きたばこが占めている。この高い収益性を原資として加熱式に投資するが、他2社ほど極端な「紙巻きからの脱却」は掲げていない。あくまでも「消費者の選択肢を増やす」というアプローチだ。
日本では「税と規制」の逆風も
各社が次世代製品への移行を急ぐ一方、日本国内では加熱式たばこに対する逆風も吹き始めている。
一つは「税」だ。26年10月からは紙巻きと加熱式の課税方式が統一され、加熱式は実質増税となる。これにより店頭価格の差が縮まり、モノによっては加熱式の方が高くなるなど、価格優位性が失われる。
もう一つは「規制」である。20年改正の健康増進法では、加熱式たばこに限り「専用喫煙室での飲食可能」という経過措置がとられていた。施行から5年が経過し、厚生労働省の専門委員会でこのルールの見直しが議論された。
今年の7月時点では「科学的知見が不足している」として規制強化は見送られたものの、超党派の議員連盟や医療関係者からは規制強化を求める声が根強く、受動喫煙をめぐる火種はくすぶったままだ。
こうした環境下で、各社は加熱式以外の製品にも活路を見出している。その筆頭が、唇と歯茎の間にパウチを挟む「オーラルたばこ」だ。20年にBATがいち早く国内参入し、25年にPMI、翌年にJTも相次いで参入。煙やにおいが一切出ないため、映画館や電車内などでも使用ができる新しいニーズを開拓している。
規制強化や増税というハードルを越え、IQOSが王者の座を守り抜くのか。それとも、多角化を進めるBATや、圧倒的資金力で追いすがるJTが新たなイノベーションで市場をひっくり返すのか。次世代たばこ市場の覇権争いは、新たなフェーズに突入している。

