また、運動会は生徒が主体となって運営する。教員が決めるのではなく、高校3年生が種目の設計からダンスの振り付けまでを考えるそうだ。「先輩の背中を見て、来年は自分たちがもっといいものにしたい」と、生徒にも熱が入る。運動会の成功を受けて、文化祭も生徒主体の運営へと移行した。
毎朝5分の「運針」が76年続く理由
豊島岡の伝統として知られているのが「運針」だ。毎朝、8時15分から20分の5分間、生徒たちはそれぞれ白い布に針を刺し、赤い糸で並縫いをひたすら行う。そして、5分間が終わると赤い糸はすべて抜いて裁縫箱にしまわれる。
この伝統は、豊島岡がもともと女子裁縫専門学校として開校したことから始まったものだ。現在のように毎朝5分行う形になってから、76年続いている。
運針について外部で話すと、時代錯誤だと鼻で笑われた時期もあったそうだ。そこで「建学の精神を受け継ぐ伝統で、手指を動かすことは脳の活性化につながる」という効果を加えた。その後、進学実績が上がるにつれて豊島岡への注目度が高まり、運針も広く知られるようになった。
「運針の時間は、教員にとっては生徒を静かに観察できるタイミングでもあります。心が乱れていれば、針目にも表れます。いつもと違う様子の生徒がいたときには、声をかけるようにと教員には指導しています」


※ログイン後、コメント入力が可能です。