しかし、彼らはそんな声も意に介さず、自分たちが音楽をいかに楽しみ、ファンをどれだけ喜ばせるかだけを考えた。その結果、メディアの批評をよそにライブにはファンがつめかけ、彼らの人気はアメリカから爆発的に火がついた。そして、瞬く間にスターダムを駆け上がり、伝説のロックバンドとなる。
メンバーの急逝後にバンドは解散するが伝説は続く
69年から70年代を駆け抜けた彼らの音楽は、その時代を代表する先鋭的なロックであり、当時の若者たちを熱狂させた。しかし、80年のジョン・ボーナムの急逝によりバンドは解散する。
その後、80年代はテクノロジーの進化とともに、シンセサイザーが楽器の主軸になるテクノやポップスが全盛期を迎える。そんな時代に、彼らの音楽は、ロックが輝いていた時代のプリミティブなクールさが再評価され、解散後も伝説のロックバンドとしてその名を世界中に轟かせる。彼らのアルバムは全世界で3億枚以上の売り上げを記録し、95年に「ロックの殿堂」入りを果たした。
本作には、そんな当時の彼らのリアルな姿が映り、現在の彼らの言葉でその時代が語られる。
そこには暑苦しいまでの時代の熱量があり、激しく、ときに切なく、自らの願いや思いを歌に込めて社会に発信してきた彼らの生き様がある。そして、彼らの音楽とともに多感な時期を過ごしたファンの人生も、そこに紐づいている。
ラジオにかじりついて洋楽の最新曲をむさぼり、お小遣いを貯めてレコードを買ってはカセットテープに録音して友だちと貸し借りしながら、好きなバンドや曲を語り合う。そんな昭和の洋楽ロック少年の心の奥底に息づいている思い出が鮮烈に引きずり出される。
当時のファンの思いの答え合わせにもなるに違いない。その感情が生じた理由や背景を、今だからこそ、より解像度高く思い起こすことができる。また、今改めて振り返る彼らの音楽に新たな意味を見出す往年のファンもいるかもしれない。同時にそこからは、ファンそれぞれのこれから先の人生への新たな視界が開けていくだろう。


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