ドラマ『サ道』とはタナカカツキ氏による同名の漫画原作をドラマ化したものだ。2019年と21年に連ドラとして2シーズン放送されたほか、19年以降ほぼ毎年スペシャルドラマが放送されている人気作品だ。本作の影響力は大きく、コロナ禍前後のサウナブームの一因になったのは間違いない。
上野に実在する「サウナ&カプセルホテル北欧」でたまたま親しくなったナカちゃん(原田泰造)、偶然さん(三宅弘城)、蒸し男くん(磯村勇斗)の3人がサウナの魅力や日々感じていることをそれぞれ語る本作。『サ道』を一言で表すとき、「サウナでととのい、その魅力を語るドラマ」という表現でもあながち間違いではないのだが、実は日常の生きづらさや社会情勢を容赦なく描くシーンも多くあるということは、意外と知られていないかもしれない。
仕事や家庭でうまくいかない中年男性、コロナ禍における試行錯誤の日々が数多く登場する。「人生で悩みや苦しみを抱えた人々が、サウナに救いを求める」という物語構成が、高い解像度によって成立しているのだ。
会社でうまくいかない中年男性たち
『サ道』では「中年男性」が多く登場するが、仕事や家庭でイマイチな人が多い。
主人公のナカちゃんはフリーのクリエイターとして働いているが、決まりかけていた仕事が白紙になる、当たりの強い発注元に締切を早められたり朝イチで呼び出しを食らったりするなど切実な描写が多い。
ほかにも、荒川良々演じる”つるぴかさん”は「居場所のない中年男性」の象徴だ。仕事も得意なわけではなく、部下から嫌味を言われたり、煙たがられたりすることも多い。また、妻には息子の受験勉強の邪魔になるからと「帰宅可能時間23時以降」とメッセージを送られるなど見ていて苦しくなる。
そのうえ、社内の人にサウナを強要して気まずい雰囲気になった男性や、サウナがきっかけで家族と距離ができてしまった男性など、これでもかと思うほど居心地悪いシーンが続く。
日常の悩みや苦しみを容赦なく描く『サ道』のなかでも、特に24年の年末に放送された『サ道2024SP~誰しも何かを胸にととのう~』は、鬱回として放送直後に話題となった。この回で登場する人物たちはタイトルどおり「何かを胸に」抱えているのだ。
・結婚を考えていた彼女に振られる蒸し男くん
・部下に忘年会を断られる偶然さん
・単身赴任から帰省したものの、家族に歓迎されないつるぴかさん
・年末特番を横目に、フードデリバリーでバイトする売れない芸人マサムネ(染谷将太)
音楽や照明が抑えめであることも相まって、終始重苦しい雰囲気であり、見ているこちらもかなり落ち込んでしまう。
しかし、さすがはテレ東ドラマ。鬱展開だけでは終わらない。
胸にそれぞれの悩みを抱えた各々は、いつもの集合場所である上野の「サウナ&カプセルホテル北欧」に集合し、お互いの悩みを打ち明けることで立ち直っていく。最後はしっかりと、回復するオチに着地していくのだ。


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