AIを導入すべき領域はどこか
全社員にChatGPTのアカウントを配ったものの、使われ方は効率化のレベルにとどまっている。汎用的な議事録作成ツールを導入したが、肝心の意思決定プロセスは何も変わっていない。こうした話は珍しくありません。「AIを活用している」状態と「AIで事業成果を出している」状態の溝は、思いのほか深いようです。
ここで、企業の業務を「土台」と「味付け」に分けて考えてみたいと思います。
土台とは、どの企業にも共通する基本的な業務プロセスです。経理処理、人事管理、一般的な顧客対応、問い合わせへの回答など、企業活動のインフラにあたる部分で、業種や規模を問わず似たようなやり方で行われています。ここは汎用ツールの得意領域です。わざわざゼロから作る必要はありませんし、そのほうが導入コストも圧倒的に低くなります。
一方の味付けとは、その企業が独自に積み上げてきたノウハウであり、暗黙知に基づく判断のことです。経営学でいうコア・コンピタンスにあたります。なぜこの工程を、なぜこの順番で行うのか。なぜこの顧客にはこの提案をするのか。なぜこの材料をこの温度で処理するのか。こうした判断の背景には長年の試行錯誤の蓄積があるため、標準化できず、マニュアルに書き尽くすこともできません。



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