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「多摩へサイクリングに行きたいんだけど、ヘリコプターを手配してくれる?」
世界的な小売企業の一家を乗せたハイヤーの中で、その一言は飛んできた。積むのは、ご主人愛用の約400万円の自転車。猶予は3日。だが、断るという選択肢はない。
株式会社Musubi代表の増田恵美さんは、各国の王族やグローバル企業のトップなど、VVIP(Very Very Important Person)が日本を旅行する際に指名を受け続ける通訳ガイドだ。急な予定変更や難解なオーダーが日常茶飯事の現場で、語学力以上に求められる力とは何か。一流が旅に求める価値と、無理難題を実現してきた仕事術を聞いた。
「何をしたいか」は、日本に着いてから決まる
2025年の訪日外国人旅行者は4268万人と初めて4000万人を超え、消費額も9兆円台に乗った。政府は2030年に6000万人・15兆円を掲げ、1人あたりの消費額を高めることも重視している。中でも注目されるのが、訪日1回あたり1人100万円以上を使う「高付加価値旅行者」だ。
ただ、その中でもさらに桁外れの旅行者がいる。増田恵美さんは、「Wikipediaに詳しい説明が載っているような方たち」の通訳ガイドを数多く担当してきた。
増田さんはロンドンの大学院で修士号を取得後、イギリス系の訪日旅行会社に13年間勤務。その後独立し、ハイエンド層向けの旅行企画から手配、現場の運営、通訳ガイドまでを一手に担ってきた。


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