コロナ禍後に復活を果たした映画館に、さまざまな層の観客がやってきた。そこにマナー論争の火種がある。原因は「民度の低下」ではなく、「客席の構成が変わったことの表れ」として読むべきではないか。
その変化を、数字で捉えた調査がある。ライブ・ビューイング・ジャパンが3月に発表した「サブスクリプションサービスでの映像視聴と映画館の体験価値」という調査だ。
同調査で対象としたのは、配信サービスと映画館の両方を使う20〜60代・1005人。映像を観る際に最も利用する手段は、サブスクが45.9%で最多。映画館は22.6%だった。
配信が「正しい観方」を書き換えた
注目すべきは、配信の何が支持されているかだ。満足している点は「好きなタイミングで視聴を始められる」が73.1%で断トツ。次いで「リラックスした姿勢や服装で鑑賞できる」が50.3%、「周囲の視線や音を気にしなくてよい」が33.5%。つまり、人々が配信に見出している価値は「自分のペースで自由に楽しめること」だといえる。

配信の自由さを積み重ねた人が劇場のイスに座ると、ふだんの振る舞いがそのまま劇場では「マナー違反」になる。スマホを触りながら見ることも、おしゃべりすることも、配信視聴ではいつも普通にやっているのだ。ところが、家と同じことをしているだけでとやかく言われる。
今回の発端がエンドロールだったのは、配信と劇場の違いを象徴している。配信視聴で最後にスタッフリストが流れると、ボタンが現れたり、次の作品のサムネイルがかぶさってくる。配信では「エンドロール=終了」なのだ。
「ここは見なくていい」と言われているも同然なのに、映画館では席を立つと怒られる。「エンドロールも作品の一部だぞ」とたしなめられても、「マナー警察」と反発したくなるのもわかる。
同じ調査には、逆側からの数字もある。

「これだけは絶対に映画館でしか味わえない」ものを1つだけ選ばせる質問では、「大画面と音響設備による没入感」が60.6%で最多なのだが、2位が「上映中はスマホなどを触らず、作品だけに集中できる強制力」で15.8%だった。


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