事件はその後、台北地方法院(地裁)での公判手続きへ移った。8月25日には第1回の準備手続きが開かれたが、高金氏本人は出廷せず、弁護人側の都合などを理由に本人の出廷日は10月27日に変更された。裁判所では他の被告に対する準備手続きが順次進められている。
ところが、9月に入ると事件は急展開を見せた。前出の張俊傑氏が、9月6日夜、電子足かせによる位置監視中に逃亡したのである。翌7日未明、台北市内の大安森林公園で破壊された電子足かせが発見された。張氏本人は見つからず、台北地方法院は同日、張氏を指名手配した。
拘束されていた側近が逃亡、大陸との関係も露呈
張氏は6月8日に高金氏らとともに起訴され、検察から懲役16年以上を求刑されていた。起訴後は1000万台湾ドルの保釈金で保釈され、出境禁止と電子足かせによる電子監視の対象となっていた。
張氏の逃亡を受け、検察・警察当局は関係者の捜査を一気に強化した。
捜査の過程で、張氏が逃亡直前に高金氏の事務所に所属する陳俊瑋氏と接触していたことが判明した。検察は、張氏が陳氏に物品を渡した可能性などを調べるため、陳氏の自宅などを捜索し本人を拘束した。さらに9月9日には、立法院内にある陳氏の事務所も捜索した。
検察は陳氏について、張氏の逃亡を助けた可能性があるとして、犯人隠匿や公物損壊などの容疑を視野に捜査。事情聴取後、5万台湾ドルでの保釈を認めるとともに、居住地を制限した。現段階では、陳氏が張氏の逃亡を実際に支援したと司法判断されたわけではない。
さらに事態は、単なる公費助理費の不正受給事件にとどまらず、中国大陸との関係へと広がりを見せている。
台湾高等検察署などは9月8日以降、張氏が中国大陸側から資金を受け取り、台湾で組織を形成していた疑いについて、国家安全法違反の可能性も含めて別途捜査を開始したのだ。
つまり今回の事件は、当初の「立法委員による公費助理費の不正受給」をめぐる汚職事件から、関係者の逃亡、逃亡支援疑惑、さらに中国側からの資金提供や国家安全法違反の疑いへと、捜査範囲が急速に広がっている。
9月14日現在、張俊傑氏の身柄は確保されておらず、台湾の検察・警察当局による行方の追跡が続いている。一方、張氏の逃亡をめぐっては複数の関係者について捜査が行われており、事件の全容解明に向けた動きも続いている。


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