近年、日本のみならず世界各国で財政リスクの高まりが議論される中、改めて注目を集めているのが「ドーマー条件」である。ドーマー条件とは、政府債務残高対GDP比が安定的に推移するための条件を示したものであり、エブセイ・ドーマーによる1944年の研究に端を発する。
単純化すると、政府債務の利子率よりも名目GDP成長率の方が高ければ、一定程度の財政赤字を継続しても債務残高対GDP比は発散しにくい。逆に、名目GDP成長率を上回るペースで利払い負担が増加すると、債務残高対GDP比は上昇しやすくなり、財政の持続可能性に対する懸念が高まる。
「成長率g-金利r」という重要指標
一般的には、名目GDP成長率(g)と政府債務の実効金利(r)の差である「g-r」が財政余力を判断する重要な指標として用いられる。名目GDP成長率が高く、実効金利が低ければ、税収を債務費以外の支出が上回るプライマリー赤字を一定程度拡大しても債務比率は安定しやすい。一方、実効金利が成長率を上回る状況では財政赤字の拡大余地は大きく制約される。
もっとも、ドーマー条件を議論する際には、「現在の数字」だけに注目することは適切ではない。市場参加者が財政リスクを判断する際に見ているのは、現在の実効金利や成長率ではなく、それらが将来どのように推移するかという期待である可能性が高い。
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