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日銀が利上げしなくても、実は日本は「金融引き締め」状態・・・政治的レトリックに覆われた実態をデータで捉える

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経済をめぐるお金は十分あるのか(写真:Bloomberg)
  • 末廣 徹 大和証券 チーフエコノミスト
*2026年4月22日6:00まで無料の会員登録で全文をお読みいただけます。それ以降は有料会員限定となります。

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政治や政策の議論において、スローガンが実態を上書きしようとすることは少なくない。

高市政権が掲げる「積極財政」は、デフレ脱却への強い意志を感じさせる響きを持つが、実際には消費税率引き下げについても慎重な印象を受ける。財政健全化を重視する宏池会出身の岸田政権ではコロナ後の回復局面にあったのにもかかわらず、巨額の補正予算(経済対策)が続いたのと真逆の関係にあるようにも見える。

他方、日本銀行の金融政策もまたメッセージと実態を理解するのが難しい。常に利上げのチャンスを窺うタカ派的な姿勢が目立っているが、実質金利はマイナスであり、金融環境は依然として緩和的である、という説明がなされている。

注視すべきは、政治的レトリックではなく客観的なデータである。

当レポートでは、マネーストック(金融部門から経済全体に供給されている通貨量)と名目GDPの関係性を示す「マーシャルのk(Marshallian k)」を主指標に据え、金融環境を考える。

結論から言えば、現在の日本は、名目上は緩和的に見えながら、実質的には金融・財政両面で引き締まりが進行する局面にある。

金融環境の変調を示す「マーシャルのk」

「マーシャルのk」は、以下の数式で定義される。

「マーシャルのk」 = 「マネーストック」÷「名目GDP」

この指標は、一国の経済活動(名目GDP)に対して、どれだけの資金が供給されているかという「通貨の充足度」を測るものである。また、これは「通貨の流通速度」の逆数でもあり、お金がどれだけ経済の中を循環しているかを示す鏡でもある。

これまでの日本のマーシャルのkは、金融危機以降の緩和的な金融政策を背景に上昇トレンドを描いてきた。特にコロナ禍における空前の財政拡張と大規模な金融緩和は、この指標を急上昇させた。

しかし、23年を境に状況は一変している。

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