基本の原料米は4種類に。八反錦は赤、八反35号は白、山田錦は緑、雄町はグレー。それぞれの米にイメージされる色をあてた。
また、ラベルからは、思い切って漢字を外した。海外の人を意識してのことだ。かわりに真円を配置し、地球や土壌、酒造りに不可欠な人の和や縁といった日本人の精神を表現した。そして、エンボス加工で「龍」を浮き上がらせる。
これまで学んだマーケティングの考え方をデザインやブランディングに盛り込んだラベルは、当初「どこの酒かさっぱりわからん」と批判された。しかし、シンプルさが評価され、次第に受け入れられていく。
同年、龍勢はフランスで初めて行われた、フランス人のための日本酒コンクール「Kura Master」の純米部門でプラチナ賞を受賞した。
その後、ヨーロッパへの日本酒輸出量は着実に増えていった。
コロナで「全量生酛」を決断
ところが2020年、新型コロナウイルスが猛威を振るう。酒は悪者のように扱われ、飲食店は閉まり、売り上げは低迷。義大さんは「社員を守るために、これから何を残すか」を考えた。
「小さな蔵に、生産量を増やす力はありません。売り上げを増やすためには、高い価格でも売れるお酒を造っていくしかない。現在の日本酒の多くは、日本醸造協会が純粋培養した『協会酵母』を使って造られています。しかし、同じ酵母を使えば、全国どこで造っても似たような酒になる。それなら、この蔵でしか造れない酒を造ろうと思いました」(義大さん)
この頃、藤井酒造の生酛造りの割合は、全体の1割程度。日本酒全体の中での生酛の割合が2%程度であることを考えると、すでに割合は高かった。しかし義大さんは、生酛造りの酒をさらに増やし、将来的にはすべての酒を生酛造りと「蔵付き酵母での醸造」に切り替えることを決断した。


※ログイン後、コメント入力が可能です。