結局、コンサルは汎用スキルばかりに気を取られて専門性を積みづらく、専門性がないから方向性のブレた転職を重ね、転職を重ねるから専門性がますます中途半端になりがちである。転職先の幅が広いからこそ、逆に変な方向に行ってキャリアが詰んでしまうことすらある。
自分の「終の住処」を決めなければならない
ここまでの議論を踏まえれば、職業人生において、自分が何をやるのかを決めることがいかに重要であるかが分かる。
つまり、一生の仕事(私はこれを「終の住処」と呼んでいる)を決めなければならない。
「終の住処」とは、キャリアの最終目的地であり、自分の仕事の専門性のことである。ただし、ここで言う専門性は「能力」ではない。あなたが人材市場で「どこに立っているか」を示す座標のことである。
たとえば、「医療機器向け組み込みソフトウェア開発」「製造業のクロスボーダーM&A」といった、具体的な仕事の名前である。
そこをはっきりさせて一貫した経験を積まないと、どんな経験を積んでも発散するばかりである。そして、行く末が分からなければ、そこに行くためにどんな職務経験を積むべきか分からない。
どこで止まって経験を積むかを決めてから走ることが重要なのである。そうすることで、プロフェッショナルな働き方に身を置いていても、組織依存の働き方と比べて圧倒的に自由でありながら、終身雇用に準ずる安定を手にできる。専門性を高めた恩恵として、他者との競争が緩和されるからである。
組織に守られる終身雇用ではなく、専門性に守られる終身雇用――私はこれを「プロフェッショナル版終身雇用」と呼んでいる。転職は手段であって、目的ではない。 「終の住処」という目的地を決めた者だけが、無限ループから抜け出せる。



※ログイン後、コメント入力が可能です。