「福岡の赤とんぼは、こんなに人に近寄らないよねえ」
「福岡のは、もっと大きいような気がする」
私たちが子どもの頃、毎年公園などに出現した赤とんぼと違う種類の赤とんぼのようです。
ダムの放水も見られるようでしたが、帰宅時間が迫ってきたので吊り橋を引き返し、車に乗って最後の道の駅「きつれがわ」を目指しました。
到着する頃、ポツポツと雨が降り始めました。
「ちょっと小腹が空いたから、何か食べてからレンタカー屋に向かおうか」と、お惣菜コーナーで人気商品という「きつねのたまご」とお赤飯を買い、備え付けのテーブルで食べました。「きつねのたまご」は甘辛く煮付けた油揚げに半熟ゆで卵が入っていて、「うちでも作ってみたい」と思える素朴なおかずでした。
バケツをひっくり返したような雨
「雨、ひどくなってるね」
妹が窓の外を見て言いました。「バケツをひっくり返したような」という表現がぴったりの、土砂降りでした。
「これは……運転怖いね」
妹のほうを見ると、「うん」と深刻そうな顔。慣れない道、慣れない車です。でも、車の返却時刻が迫っており、雨も当分やみそうにないので細心の注意を払って、車を走らせることになりました。
道の駅きつれがわの駐車場を出て、一路、宇都宮駅近くのレンタカー屋を目指します。雨はやむどころか、ますます雨足を強めていきます。
正直、大雨の中を車で走るってこんなに怖いとは思っていませんでした。私は車も免許も持たないので、普段車に乗る機会はあまりありません。でも、日常的に車に乗り慣れている妹も、「早く雨やんでー!」と、運転する姿勢が肩をいからせ、前のめりになっていたので、かなり怖かったようでした。
私にとっても吊り橋の恐怖が霞むほどのインパクトで、あのときフロントガラスから見えていた大粒の雨に霞む景色は、忘れられません。


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