パブリカスポーツでは、特徴的なスライド式のオープンルーフを採用したが、スポーツ800は、コスト面に優れる通常の2枚ドアだ。ただし、着脱式ルーフをはずせばオープンカーにできる仕様にしたことは、スポーツカーらしさにこだわった点だといえる。
一方、ボンネットやルーフ部などにアルミを用いてボディを軽量化した点は、パブリカスポーツを継承。車両重量は、パブリカスポーツの566kgに対し、スポーツ800は580kgとし、ほぼ遜色のない軽さも実現した。両モデルの重量差は、わずか14kgにとどまる。
車体には、パブリカスポーツの二重モノコックに対し、一般的なモノコック構造を採用。これも量産化やコストダウンを考慮したものと考えられる。一方、空力特性を考慮したヘッドライトの透明カバーは踏襲。67年登場のトヨタ2000GTにもつながる、個性的なフロントデザインの礎となった。
さらに、空冷水平対向2気筒OHVというエンジン形式も同じ。ただし、排気量はパブリカスポーツの697ccから790ccへと拡大し、最高出力は45PSを発揮。最高速度は155km/hを実現し、軽い車体と相まって、キビキビとした軽快な走りに貢献した。
トヨタによって展示された2台の歴史的な名車
ちなみに、今回展示されたパブリカスポーツは、トヨタ車だけでなく、数々の世界的な名車を集める「トヨタ博物館(愛知県長久手市)」が所蔵する車両だ。もともとオリジナル車両は失われていたが、当時の資料や図面などをもとに、トヨタの有志やメーカーOBらが2007年から5年をかけて復元。貴重な車体を残すことで、後世にクルマ文化を伝えることを目的としている。
また、スポーツ800は、トヨタが運営する生産技能の教育・支援拠点「グローバル生産推進センター(愛知県豊田市)」がレストアを担当。製造現場などから集められたメンバーが、レストアを通じて技能やノウハウを学び、人材育成や「もっといいクルマづくり」につなげる取り組みの一環として復元を手掛けた。単なる保存車ではなく、技術やものづくりの精神を次世代へ伝える役割を担っているのが今回の展示車なのだ。


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