岐阜県西部の北方町(きたがたちょう)。岐阜市の西隣、濃尾平野の田園地帯の一角にMeiji Seikaファルマの岐阜工場はある。面積は15万㎡。敷地に入ると、大型のクレーンが天高くそびえ立っていた。辺りにはには金属音も響き渡る。今年6月に着工した無菌原薬製造棟の建設現場だ。
抗菌薬を製造するこの岐阜工場は、同社の小林大吉郎会長が「更地にして売却しようと考えたこともある」と語るほど、その存在意義が薄れた時期があった。ところが2023年、医療に欠かせないペニシリン系抗菌薬の原薬を製造する国家プロジェクトの重要拠点に位置づけられたことで、息を吹き返している。
工場内は熱気に満ちていた。「つい先ほど菌株を入れたばかりです」。培養棟を案内してくれた工場スタッフが言う。ペニシリン原薬の発酵原料となる菌が、重量20トンの培養槽に投入されたばかりだという。記者がタンクの中をのぞき込むと、褐色の液体がぐるぐるとかき回されているのが見えた。小指の先ほどの量だった菌が、一気に増殖されているのだという。
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