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キャリア・教育

学校に行けなくても孤立させない…「不登校を減らす」のをやめた町が"発想の転換"で得た成果

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葉山町の校内支援センター
葉山町の校内教育支援センター(写真:葉山町教育委員会提供)
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「年間30日以上休んでいても、今は普通に学校に来ている子もいます。一方で、29日しか休んでいなくても、学校にも家庭以外の居場所にもつながっていない子もいる。だから私たちは、30日以上休んだかどうかだけではなく、その子が今、『実質的な孤立』の状態なのかどうかを見るようにしています」

そう話すのは、神奈川県葉山町教育委員会教育長の稲垣一郎氏だ。稲垣氏が捉える「実質的な孤立の状態」とは、「学校・校内教育支援センター、フリースクール、オルタナティブスクールなど〝学びや人とつながる場“のいずれにも接続できていない状態」を指す。

稲垣一郎(いながき いちろう)神奈川県葉山町教育委員会教育長/2021年から務め2期目。町部局のCIOも兼務。私立中学校・高等学校での国語科教員、県立高校、県立特別支援学校、神奈川県教育委員会勤務を経て、県立通信制高校・工業高校・全日制普通科管理職を歴任。教育委員会ではICT推進担当課長として、県立高校・特別支援学校・社会教育施設のネットワークインフラ構築・運用など教育ICTの推進に尽力。その後、神奈川県立湘南高等学校の校長として、定時制・通信制高校会長等の役職を5年間務める。高校から義務教育までの経験を生かし、支援教育や不登校対策に注力(写真:本人提供)

なぜ、このような視点を持つようになったのか。稲垣氏が不登校を考えるうえで大きな土台となっているのが、高校現場での経験だ。県の教育行政に長く携わり、通信制単独校の創設にも関わってきた。そこから義務教育の現場に来て強く感じたのが、「高校と小中学校では、不登校の成り立ちが違う」ということだった。

「高校は、生徒が自分で『進学する』と決めて来ているので、学校に来られないときも、本人なりに理由がわかっていることが多い。でも小・中学校では、『どうして学校に行けないのか自分でもわからない』という子が少なくありません」

学校に行けない背景には、学校との関係や本人の特性、家庭の状況などさまざまな要素が絡んでいることもある。そんな子どもたちを、「30日以上欠席」という1つの基準だけで捉えることには限界がある。

「子どもが学校に行かなくなると、親は心配のあまり、仕事や自分の生活を後回しにして子ども中心の生活になってしまうことがある。当然です。でも、私は保護者の方々に『可能な範囲で、仕事に行くなどご自身の時間を過ごしてください』とよく言うんです。子どもは親が思う以上に親を見ていますから。親がいつもどおり、自身の生活を大切にしている姿を見ることも、子どもにとっては大事なんですよね」

「どこにもつながっていない子どもの数をゼロにする」

そんな中、葉山町が教育ビジョンに掲げたのが、「どこにもつながっていない子どもの数をゼロにする」という目標だった。

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