マービンは妻をにらみつけ、せっかくの自分の提案の価値もわからないような愚かなシュライスの金などほしくはないなどと長々と文句を垂れた。キッチンから出ていきながら彼は怒鳴った。
「あの女はばかだ、いい話が額(ひたい)にぶつかってもそれがわからないんだから!」
相手を非難し、自分を正当化するのは簡単
マービンは自分の製品について考え直したり、シュライスの批判を聞き入れて製品を改善しようとしたりはしなかった。
それどころか製品の欠陥を指摘したシュライスを非難し、シュライスは知性に欠け、マーケットが求めるものについていけない時代遅れの人だと決めつけて自分を正当化した。
自分が受けた批判をじっくり検討し、面倒なやりとりから何かを得ようとするよりも、相手を非難し自分を正当化するほうがずっと簡単だ。
だが、交渉の場で相手を非難しても何の役にも立たない。
非難という観点で過去を振り返ると、失敗は「だれのせいなのか」に関心が集中してしまう。そして言うまでもなく、この観点からは「起きた失敗からどんな学びを得られるか」という問いは出てこない。
過去は多くの教訓を含んでいるが、それを得られるのは、私たちが心を開いている場合に限られる。
非難は明らかに学びを妨げるのだ。


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