このように多彩な展開が行われている京都に対して、JR東海は奈良に対してどのような観光戦略を取っているのだろうか。
JR東海は京都と同時期の1993年に「いま、奈良にいます。」という観光キャンペーンを始めた。2005年からは「うまし うるわし 奈良」という観光キャンペーンを展開してきたが、京都キャンペーンと同じ歴史を持ちながら、京都と比べると注目度は高いとはいえなかった。そこで、2022年5月にその内容をリニューアルし、「いざいざ奈良」という新キャンペーンを開始した。歴史にフォーカスしていた「うまし うるわし 奈良」から一歩踏み込み、「いざいざ奈良」では歴史だけでなく、食、風景、工芸など現代の奈良の魅力についても紹介している。
オーバーツーリズム対策の側面も
2022年5月といえば、3年ぶりに行動制限がないゴールデンウィークを迎え、ウィズコロナ(コロナとの共生)への方針転換が本格化した時期である。外国人観光客の受け入れも2年ぶりに再開されようとしていた。
つまり、JR東海にとって奈良キャンペーンのリニューアルとは、コロナ禍で利用者が低迷する東海道新幹線のテコ入れ策であると同時に、コロナ後の京都の観光客増加によるオーバーツーリズム再燃に備えて、観光客を京都と奈良に分散させたいという側面もあった。
「いざいざ奈良」のイメージキャラクターには俳優の鈴木亮平さんを起用した。近鉄GHDが展開する奈良観光キャンペーン「わたしは、奈良派。」ではイメージキャラクターを俳優の杏さんが務めており、東京駅や品川駅などでたびたび両社のキービジュアルやポスターが並んで掲出されている。単独で掲出するよりもかなり目立つ。

