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経済の先行きを見通すうえで、地政学リスクという言葉を耳にする機会が格段に増えた。ロシアによるウクライナ侵攻、中東情勢の緊迫化、米中間の対立など、国際政治上の出来事が経済や金融市場を大きく動かす場面は珍しくない。戦争や国際的な緊張は、原油や天然ガスなどの資源価格を動かし、サプライチェーンを寸断することがある。企業の設備投資や海外進出の判断にも影響し、金融市場では株価、金利、為替レート、国債の信用リスクなど、さまざまな価格に波及する。
もちろん、地政学的な出来事が経済を左右すること自体は、今に始まった話ではない。2度の世界大戦、冷戦、中東戦争、湾岸戦争などを振り返っても、国際政治と経済は常に密接に結びついてきた。
それでも、経済学の実証分析、実務におけるリスク管理において地政学リスクを扱うことには、長い間、大きな難しさがあった。
GDP(国内総生産)や物価、金利、株価であれば、数字として観測できる。一方、「今、世界の地政学リスクはどの程度高いのか」と聞かれても、簡単には答えられない。「リスク」や「緊張」は、そもそも直接観測できるものではないからだ。
観測できない地政学リスクを数値化した「GPR指数」
そこで登場したのが、「Geopolitical Risk Index」、一般に「GPR指数」と呼ばれる指標である。
GPR指数を開発したのは、米連邦準備制度理事会(FRB)のエコノミストであるダリオ・カルダラとマッテオ・イアコヴィエッロである。
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