「パキってないと、嫌なこと考えちゃうから」
みおさんは、薬の過剰摂取「オーバードーズ(OD)」をする理由をそう話す。「パキる」とは、ODによって酩酊(めいてい)状態になることだ。
東京都内に住む17歳。4月に高校を退学し、現在はアルバイトをしながら祖母と暮らす。
母子家庭で育ち、4人きょうだいの中で自分だけが差別や暴力の対象となった。生きづらさを抱えるなか希死念慮を抱くようになり、中学1年生のときからリストカットを始めた。その頃、母親と喧嘩をし、「出て行け」と言われ、近くに住む祖母と暮らすようになったという。
ODのことは中学のときから知っていたが、恐怖心からやらなかった。しかし昨年の秋、せきが止まらなくて近くの耳鼻科に行くと、せき止め薬を処方された。興味本位で大量に飲むと、ふわふわして、つらいことや嫌なことを全部忘れられた。その感覚が頭から離れず毎日飲むようになった。
ODをするのは気持ちが落ち込む夜が多い。
「死なないために、薬に手を出す」
「もう無理」「飛び降りたい」――。急にそんな思いが強まって、薬に手を出す。薬は祖母が管理しているが、保管場所は分かっているので、祖母が寝た後で、自室で服用する。
当初、せき止め薬は20錠ほど飲んでいたが、耐性がつくにつれ量が増えた。市販のアレルギー薬の瓶を一度に空けることもある。水や緑茶割りの麦焼酎で飲み下す。これまで2、3回、前後不覚になり救急搬送されたという。


