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ライフ #還暦バックパッカー教授の世界見聞録

自分の目で見て初めて気づく「ああ、こうなっているのか」…情報があふれる今こそ「現地・現場・現物」で世界を見る

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カンボジアの首都プノンペンのイオンモール。日本のイオンと見まがうような光景だ(写真:筆者撮影)
  • 河瀬 誠 立命館大学ビジネススクール教授、MK&Associates代表
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社員から直接話を聞き、会社の歴史をひもとき、蓄積してきた技術や人材の強みを知る。生産工程や業務の流れを実際に追うことも重要だ。

こうした「現地・現場・現物」を踏まえてこそ、組織への理解は深まる。これは、トヨタが重視してきた「現地現物」の考え方にも通じる。

国は、会社よりはるかに大きく複雑な存在だ。それでも、異なる情報を組み合わせる重要性は変わらない。

ある国を理解するには、まず基礎的なデータや歴史を学び、報道などの二次情報にも触れる。そのうえで、できるなら「現地・現場・現物」に接し、それぞれを突き合わせながら自分なりに咀嚼していく必要がある。

世界の「手触り感」を持とう、アンテナを立てよう

旅で訪れた国には、自然と好奇心が湧いてくる。

私は以前、イランを旅したことがある。

今年、アメリカ・イスラエルとイランの戦闘が始まったときも、旅をする前なら「よく知らない国で起きた出来事」としか受け止めなかったかもしれない。

しかし、旅をした後は違った。現地の風景をありありと思い出し、「いったい何が起きたのだろう」と気になった。戦闘に至った背景や今後の見通しについても、自分で調べたくなった。現地で出会った人たちの顔を思い浮かべながら、「彼らは無事だろうか」と思いを巡らせた。

イランの首都テヘラン、バザール前の広場の賑わい(写真:筆者撮影)

遠い国の出来事に一喜一憂するのは、余計なお世話なのかもしれない。

それでも、ニュースを流し読みするだけの「乾いた情報しかない地球」に住むより、「一人ひとりの顔を想像できる地球」に住んでいると感じるほうが、私はこの世界に生きているという実感を持てる。

ツアー旅行では、効率よく選ばれた場所を巡り、専門的な説明を聞くことができる。一方、バックパッカーの旅には、予定していなかった人や場所との出会いがある。

「ああ、こんなふうになっているのか」

「そういうことだったのか」

そんな気づきに出会えることも、バックパッカー旅の醍醐味だ。

もちろん、一度訪れただけで、その国のすべてを理解することなどできない。それでも、現地での体験を通じて世界の解像度は上がり、自分なりの判断軸も育っていく。

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