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ライフ #還暦バックパッカー教授の世界見聞録

自分の目で見て初めて気づく「ああ、こうなっているのか」…情報があふれる今こそ「現地・現場・現物」で世界を見る

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カンボジアの首都プノンペンのイオンモール。日本のイオンと見まがうような光景だ(写真:筆者撮影)
  • 河瀬 誠 立命館大学ビジネススクール教授、MK&Associates代表
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2012年、尖閣諸島をめぐって日中関係が緊張していたころには、北京を旅した。当時、中国の国営テレビCCTVは、旭日旗を掲げて演習する海上自衛隊の艦船を繰り返し映していた。画面のテロップには、「海上自衛隊」ではなく「日本海軍」という文字が躍っていた。

こうした映像を見続けていれば、日本は今にも近隣諸国へ侵攻しかねない軍事大国だと信じてしまっても、不思議ではないだろう。

当時、中国で話した人からも、こんなことを言われた。

「日本を旅するまで、街中を軍人が威張って歩いていると思い込んでいた。でも、実際の東京には軍事色がほとんどなく、あまりに平和で拍子抜けした」

実際の日本を訪れたことで、それまでの思い込みが崩れたのだろう。

世界の情報はあふれているが…

世界のニュースは日々入ってくる。YouTubeにも、世界各地で撮影された動画があふれている。

そうした情報に触れていると、私たちは世界をわかった気になりがちだ。だが、実際にその国へ行くと、「ずいぶん違う」と感じることがある。

たとえば、国内のニュースで地震によって倒壊した家や、洪水で流された家が映っても、日本中の家屋が倒壊したり冠水したりしていると思う人はいないだろう。私たちは日本について一定の「土地勘」を持っているため、それが一部地域の出来事だと判断できる。

ところが、海外で起きた災害の映像を見たときには、その国全体が大きな被害を受けているように感じてしまうことがある。その国について判断する材料を持っていないと、印象の強い情報に引きずられやすいのだ。

今年、アメリカ・イスラエルとイランの戦闘が始まった際、日本のメディアは、イランのミサイルがサウジアラビアの米軍基地に着弾する映像を繰り返し報じた。日本政府による在留邦人の出国・帰国支援も行われた。

サウジアラビアの首都リヤドに住む友人を心配した私は、急いで連絡を取った。帰国の準備をしていた彼によると、少なくとも身の回りは平穏そのもので、日常生活にも大きな変化はないという。ニュースの情報と実際の現地とは、これほどまでに違うのかと驚いた。

イラン戦争直後、友人が送ってくれたサウジアラビアの様子(写真:筆者提供)

もちろん、政府による情報統制が強かった昔のソ連や現在の中国と、比較的報道の自由が保障されている日本を同列に扱うことはできない。

ただし、どの国の報道も、無数にある出来事の中から何を選び、どう伝えるかという編集を経ている。事実の一部を大きく扱った情報や、視聴者がすでに持っている「常識」に沿った情報のほうが、注目を集めやすいこともある。

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