さらにタチが悪いことに、これらの企業は90年代半ば以降賃金を引き上げてこなかったため、非金融法人の利益は94年の名目GDP比4%から、現在では18%へと急増した。にもかかわらず、これらの企業が支払う税金のGDP比率は横ばいのままだ。
現在、法人税収入はGDPのわずか3.3%にすぎない。もし減税が行われていなければ、法人税収入は現在、GDPの約9.3%になっていたはずだ(下のグラフを参照)。これは、企業が現在実際に支払っている額と、減税がなかった場合に支払っていたはずの額との間に、37兆円ものギャップがあることを意味する。
これに対し、食料品にかかる8%の消費税収は年間わずか5兆円程度だ。したがって、日本は企業に大幅な増税を課すことなく、一時的な減税の全額を賄うことができるのだ。
減税の分は賃上げに回されなかった
そもそも、なぜ政府は法人税を減税したのだろうか。経団連と経済産業省は、減税すればその分を賃上げや投資の拡大に使うと主張していた。しかし、企業はその約束を果たさなかった。96年から26年の間に、日本の90万社に勤める3600万人の労働者の1人当たり名目賃金は、実質的にまったく増加していない。
同時に、これらの企業による工場、設備、R&D(研究開発)への投資は、過去45年間の大半で維持されてきたGDP比8%という水準のままにとどまっている。減税しても賃金や投資が増えなかった以上、その減税を少し元に戻したところで、賃金や投資に悪影響を与えることはないだろう。
岸田氏が21年に防衛費をGDP比1%から2%へ倍増させることを決めた際、彼は法人税減税の一部を元に戻す可能性を提示した。実際、21年11月に開催された岸田氏の「新しい資本主義実現会議」では、00年から20年の間に日本の大手企業5000社の年間利益がほぼ倍増した一方で、労働者への給与支払いは0.4%減少し、設備投資は5.3%減少したことを示す資料が配布された。
日本の労働者や設備資本に投資する代わりに、これらの企業はデジタル金庫に現金(内部留保)を貯め込んできた。26年4〜6月期時点で、積み上がった内部留保の山は672兆円に達し、これは年間GDPに匹敵する規模だ。
岸田政権時代に経産省の幹部にこの件について話を聞いた際、彼は「省の最優先事項は法人税減税の撤回を阻止することだ」と述べた。経産省と経団連は阻止に成功し、岸田氏は屈服した。24年と25年の選挙活動で野党が消費税減税を提案した際、私は「減税の財源をどう調達するかを説明する必要がある」と指摘し、法人税に言及したが、野党もそろってこの問題を回避した。
日本は大きな犠牲を払うことなく、財政赤字の拡大を阻止する有効な手段を持っておきながら、政治的理由でそれを行使できない状況に陥っているのだ。


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