【答え】AIのデータは「ここ最近デジタル化された表面的な記録」に過ぎないのに対し、迷信の正体は、先人たちが何百年もかけて蓄積した「究極のビッグデータ」だったから。
AIが見ているのは、「最近デジタル化された薄皮」
このクイズは、「AIの死角」を扱うように見えて、もっと根の深い問いを投げかけています。
私たちが「非科学的だ」と一言で切り捨てているものの中に、実は、何百年もかけて練り上げられた本物の知恵が潜んでいる――そのことに気づかないまま走ると、最先端の道具を持っているのに、あっさりと足をすくわれることもあるのです。
AIが学習しているデータの正体を、1度立ち止まって、眺めてみましょう。
「過去10年分の気象データ」「過去10年分の土壌データ」。これは一見すると、膨大な情報量に見えます。しかし、これは人類が生きてきた時間軸で見れば、ほんの薄皮一枚です。
林業という現場で問われるのは、樹木が数十年・数百年かけて育つ、生態のリズムです。一方、AIに与えられているのは、人間が「最近デジタル化することができた」記録だけ。気象データのデジタル化が本格的に始まったのは、せいぜい半世紀前。樹液の動きを月齢と紐づけて記録した長期データは、そもそも公的に存在しません。
つまりAIは、見えていない領域がたっぷりあるまま、見えている範囲だけで、「最適解」を出してきます。
データの「内容」を疑う前に、まず「取得方法」を疑う。誰が、いつから、どんな目的で集めたデータか――これが出どころの質(source quality)を見極める目となります。短期間にデジタル化された情報は、それ自体は精緻でも、扱える時間スケールが限定されている。この前提を読まないまま「データに基づいて」と言い切るのは、サンプル設計を飛ばして結論を出すのと同じです。
最先端のAIは、とても賢い。けれど、賢いからこそ、手元のデータが世界のすべてだと錯覚した瞬間に、脆くなるリスクを持っています。木こりがAIの指示を無視できたのは、彼が、「お前の見ている10年は、俺たちの100年に届かない」と、感覚で知っていたからでした。


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