朝ドラ「風、薫る」では、ヒロインの一ノ瀬りん(演:見上愛)が、恵風看護婦会の派出看護婦として大忙しの日々を送っている。恵風看護婦会を立ち上げた小川(大家)直美(演:上坂樹里)としても、当初は利用する人がおらず周知に苦戦しただけに、感慨深かったことだろう。
看護婦という職業が広く認知されるようになったきっかけは、日清戦争である。日本赤十字社の看護婦たちが国内の陸軍病院に動員され、大陸から運ばれてくる傷病兵の看護にあたったことで、その働きが評価され、戦後には民間女性として初めて勲章を受章するまでになった。
日清戦争で周知された看護婦の仕事
ドラマで直美の夫は日清戦争に従軍。岩場から転落し負傷し、帰国後は広島に後送されたが、死亡する。死因は脚気だった。
そんな経緯から、直美とりんを訪ねてきた大山捨松(演:多部未華子)は、こう言って神妙な表情を見せた。
「直美さんにとっては複雑なことでしょう。この戦争がきっかけで看護婦というものが、世間に広く知られるようになりました。思わぬほうから風は吹くものね」
だが、直美は「きっかけを気にしても仕方がありません」と言い切って、りんもこう宣言した。
「私たちでこの風を大きくしていきます」
前回の記事では、一ノ瀬りん(演:見上愛)のモデルとなる大関和が帝大附属病院を退職した後、約5年半も赴任した新潟の地で、どんな活動をしていたかを解説した(前回記事「朝ドラ《風、薫る》主人公りんの「看護婦復帰」を後押しした黒川勝治、モデルの医師と大関和の"知られざる関係"」参照)。
そこで今回は直美のモチーフとなっている鈴木雅(すずき まさ)の足取りを追ってみよう。


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