八代から沿線の風景をたどってみよう。
八代を発車した列車は、ほぼ人吉まで球磨川の急流に沿ってさかのぼる。時には穏やかな流れが車窓をなごませ、岩を噛む急流がスリリングな車窓風景を見せる。その美しい風景を楽しめる列車として、2009年から「SL人吉」が走っていた。牽引した蒸気機関車は1922年生まれの8620形、通称「ハチロク」の58654号機だった。
球磨川沿いを走ったSL
SL人吉の運行当時、球磨川沿いの沿線は活気に満ちあふれていた。豪雨災害で肥薩線が不通になった後は他線を走り、2024年3月、機関車の老朽化などを理由に運行を終えた。現在、機関車は人吉で保存されている。
この球磨川沿いの区間にある「一勝地駅」は、その名前から入試を控えた人やギャンブル好きな人に入場券が人気だったが、筆者には駅近くの古い歴史を持つ酒蔵の球磨焼酎の仕込みを見学したことが思い出される。幸いにして被災を乗り越えて酒造りを再開したのはうれしい限りだ。

