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〈身動き取れぬ電通G〉伊藤忠「2000億円超の電通総研TOB」で見据える野望 肝煎りリテールメディア提携には温度差も

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東証プライム上場の電通総研。TOB成立後は伊藤忠が38%、電通グループが62%を出資する合弁会社となる見通しだ(撮影:梅谷秀司)

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終始、伊藤忠商事が主役、電通グループが脇役にとどまるディールと言えそうだ。

電通グループのシステム子会社・電通総研は8月28日、伊藤忠グループによる株式の公開買い付け(TOB)に関して、賛同の意見表明と株主への応募推奨を発表した。伊藤忠は子会社を通じ、11月上旬をメドにTOBの開始を目指す。買い付け価格は1株2880円。買い付け対象となるのは電通グループ保有分以外の38%で、伊藤忠にとって最大2152億円の出資となる。TOB完了後に電通総研は上場廃止となる予定だ。

8月31日に伊藤忠の東京本社で開かれた会見では、伊藤忠側から3名、電通グループ側から2名が出席した。口火を切ったのは、中央に座った伊藤忠の細見研介・常務執行役員第8カンパニープレジデントだ。

「(今回のTOBは)伊藤忠グループが持つ幅広い事業基盤と、電通グループの広告・マーケティング・テクノロジーの力を結びつけ、成長を加速させるためのディールだ。(伊藤忠子会社の)ファミリーマートなどが保有する多くのデータを電通の高度な生活者理解や統合プランニング力を融合させ、日本の未成熟なリテールメディア市場そのものを大きく育て、業界全体の発展に貢献していく」。細見氏はそう意気込んだ。

8月31日の記者会見に臨んだ伊藤忠商事の細見研介常務執行役員(中央)、電通グループの綿引義昌取締役(左端)ら(撮影:梅谷秀司)

電通グループの綿引義昌・取締役代表執行役副社長兼dentsu Japan COOは「ITインフラやクラウド構築で日本トップクラスのCTC(=伊藤忠テクノソリューションズ、システム開発を行う伊藤忠の完全子会社)をパートナーとして招き入れたほうが、電通総研の成長スピードを圧倒的に速めることができる。結果として、マジョリティ(約62%)を握る電通グループにとっても、投資価値の最大化につながる最善の選択だと判断した」と語った。

かねての懸案事項だった親子上場

電通グループにとって、電通総研との親子上場解消はかねてより課題だった。

SIer(システムインテグレーター)業界をめぐっては、今回TOBを行う伊藤忠が2023年にCTCを完全子会社化。25年にはNTTがNTTデータグループ、26年3月に住友商事がSCSKをそれぞれ完全子会社化している。各社はDXやクラウド、AIなどIT市場の構造変化に対応し、経営資源の一体的な活用や迅速な意思決定を可能にすることなどを目的としている。東京証券取引所が求める少数株主保護への対応も背景にあったとされる。

電通総研は電通グループ向けの売り上げ比率が直近2カ年で13〜14%と、これらの中でも親会社グループへの依存度は高い部類に入る。

電通総研が発行する最新の統合レポートでは、独立社外取締役が「当社の取締役会で親会社の存在を意識したことはほとんどない。現在の取締役会では、独立した上場企業として健全な経営判断がなされている」と述べているが、資金管理の面では25年度末時点で手元流動性の約9割、純資産の6割強に当たる600億円強を親会社への預け金にしている。資本効率の観点で少数株主から疑問を持たれてもおかしくはない(電通総研は「成長投資などを実行するまでの間の一時的な預け入れにすぎない」と回答)。

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