終始、伊藤忠商事が主役、電通グループが脇役にとどまるディールと言えそうだ。
電通グループのシステム子会社・電通総研は8月28日、伊藤忠グループによる株式の公開買い付け(TOB)に関して、賛同の意見表明と株主への応募推奨を発表した。伊藤忠は子会社を通じ、11月上旬をメドにTOBの開始を目指す。買い付け価格は1株2880円。買い付け対象となるのは電通グループ保有分以外の38%で、伊藤忠にとって最大2152億円の出資となる。TOB完了後に電通総研は上場廃止となる予定だ。
8月31日に伊藤忠の東京本社で開かれた会見では、伊藤忠側から3名、電通グループ側から2名が出席した。口火を切ったのは、中央に座った伊藤忠の細見研介・常務執行役員第8カンパニープレジデントだ。
「(今回のTOBは)伊藤忠グループが持つ幅広い事業基盤と、電通グループの広告・マーケティング・テクノロジーの力を結びつけ、成長を加速させるためのディールだ。(伊藤忠子会社の)ファミリーマートなどが保有する多くのデータを電通の高度な生活者理解や統合プランニング力を融合させ、日本の未成熟なリテールメディア市場そのものを大きく育て、業界全体の発展に貢献していく」。細見氏はそう意気込んだ。
電通グループの綿引義昌・取締役代表執行役副社長兼dentsu Japan COOは「ITインフラやクラウド構築で日本トップクラスのCTC(=伊藤忠テクノソリューションズ、システム開発を行う伊藤忠の完全子会社)をパートナーとして招き入れたほうが、電通総研の成長スピードを圧倒的に速めることができる。結果として、マジョリティ(約62%)を握る電通グループにとっても、投資価値の最大化につながる最善の選択だと判断した」と語った。
かねての懸案事項だった親子上場
電通グループにとって、電通総研との親子上場解消はかねてより課題だった。
SIer(システムインテグレーター)業界をめぐっては、今回TOBを行う伊藤忠が2023年にCTCを完全子会社化。25年にはNTTがNTTデータグループ、26年3月に住友商事がSCSKをそれぞれ完全子会社化している。各社はDXやクラウド、AIなどIT市場の構造変化に対応し、
電通総研は電通グループ向けの売り上げ比率が直近2カ年で13〜14%と、これらの中でも親会社グループへの依存度は高い部類に入る。
電通総研が発行する最新の統合レポートでは、独立社外取締役が「当社の取締役会で親会社の存在を意識したことはほとんどない。現在の取締役会では、独立した上場企業として健全な経営判断がなされている」と述べているが、資金管理の面では25年度末時点で手元流動性の約9割、純資産の6割強に当たる600億円強を親会社への預け金にしてい
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