サーバーラックの一角に、分厚い箱型のモジュールが差し込まれている。箱の中には、何十本もの円筒形リチウムイオン電池(セル)がぎっしりと詰まっている。これが「BBU(バッテリー・バックアップ・ユニット)」だ。パナソニックはこの市場で世界シェアの約8割を握る。
BBUの需要がいまデータセンター向けに急拡大している。これまでBBUは停電時にサーバーを止めないための予備電源として使われてきた。ここにきてAIサーバーの電力消費が増えるにつれ、その役割が広がっている。
電池事業を担うパナソニック エナジーは、データセンター関連の売上高を2028年度には9500億円まで引き上げる計画だ。3年間で約3倍への伸びを見込む。
AIサーバー内で電力変動を吸収する新用途
需要急拡大の背景にあるのが、サーバーに搭載するGPUの消費電力増大だ。サーバーラック1台当たりの消費電力は、従来比で約3倍の100キロワット程度に達する。28年度以降には10倍近くまで膨らむとの試算もある。
問題は消費電力の大きさだけではない。大量のGPUが一斉に演算を始めると、必要な電力は数秒のうちに跳ね上がる。この変動に合わせて電源を組めば、施設全体はどんどん大がかりになる。
そこでBBUに期待されるのが「ピークシェービング(電力の平準化)」だ。電力需要が少ないときに充電し、電力が急に必要になった瞬間に放電する。これで急な変動を吸収できる。
従来のデータセンターでは、停電に備えて大型のUPS(無停電電源装置)を別室に設置し、施設全体をバックアップする方式が一般的だった。これに対し、BBUはサーバーラックごとに電池を配置する。電力需要が跳ね上がったときも、ラックのすぐ近くから不足分を補える。
パナソニックがデータセンター向け電池事業に参入したのは10年代半ばのことだ。AIブームが起こるはるか前から市場を開拓してきた。データセンターの増設サーバー台数が増え、ラック1台当たりの消費電力も増大。そこにピークシェービングという用途が加わった。
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