それくらい今のアメリカでは、データセンター建設が多過ぎて社会問題となっている。世論調査によれば、アメリカ人の7割が自己地域でのデータセンター建設に反対しているとのこと。この手の問題に際しては、よく”NIMBY”(Not In My Back Yard)が指摘される。「その施設の必要性は認めるが、うちの近所ではお断りだ!」という感情的反発である。
ところがデータセンターの場合、実際に水使用や騒音などの環境負荷、景観の悪化、膨大な電力を消費することによる電力インフラの負荷や電気料金値上げなど、近隣住民には少なからぬ「実害」が生じるのだ。また、建設中は雇用を生み出してくれるものの、働く技術者の多くはよそから来た人たちであって、完成してしまえば維持に必要な人員はごくわずかにすぎない。つまり、かならずしも地元経済を潤してくれるわけではない。
加えて最近は、若い世代でAIに対する反発が強まっていて、大学の卒業式で講演者がAIについて言及するたびに、ブーイングが生じる光景が当たり前になっている。「AIが新卒採用を減らす」という懸念が、リアルなものとなりつつあるからだ。
共和党が強いテキサス州で上院・知事選とも接戦?データセンター問題は下手に扱えない
困ったことに、AI開発に巨費を投じる西海岸のハイパースケーラーは、「AIで社会に変革をもたらそう!」「われわれはガンを制圧し、気候変動問題も解決するのだ!」などと理想に燃えている。投資家にはそれで受けるかもしれないが、建設の対象となる中西部の住民が聞けば首を振るだろう。「そんなこと俺たち頼んでいない」「AIに人類が支配されてしまう確率が1割くらいあるとして、それでもアンタたちは開発を続けるのか?」といった反応になる。これではまったく会話が噛み合わない。
当然のことながら、データセンター建設問題はこの秋の中間選挙のテーマともなりつつある。しかも反対の声は超党派となりつつある。衝撃的だったのは、8月4日にあのテキサス州で共和党のグレッグ・アボット知事が、「州内での新規プロジェクトの承認を一時停止」と命じたことだ。あの保守的で「プロビジネス」のテキサス州、しかも地下資源が豊富でエネルギーに不自由してないお土地柄なのに!
実はテキサス州では、上院議員選挙が意外な接戦となっている。民主党の若きジェームズ・タラリコ候補が人気になっていて、共和党の「MAGA派」候補であるケン・パクストン州司法長官をリードしている。「レッドステーツ」のテキサス州が「ブルー」に転じるかも?ということで注目を集めているのだが、どうやら知事選も怪しくなっているらしい。4期目を目指すアボット知事に対し、民主党候補者のジーナ・ヒノホサ州下院議員が急追している。となると、政治的に微妙なデータセンター問題は下手に扱えないことになる。


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