高速列車も例外ではない。かつて高速列車と言えば国を代表するイメージリーダーであり、唯一無二の存在であった。だが今や高速列車もその国の鉄道だけではなく、他国や民間企業へ販売される“商品”になった。
シーメンスの高速列車「ヴェラロ」は、もともとドイツ鉄道の高速列車「ICE 3」として設計されたものがベースで、現在は他国や他社へも販売されるようになった。例えば英仏間を結ぶ「ユーロスター」は、初代車両はアルストムのTGVをベースにした車両であったが、2代目にはヴェラロを導入している。ドイツへの参入を目指すイタリアの民間企業NTVもヴェラロを導入すると発表した。
アルストムのTGVも、今や他社への売り込みに必死だ。2階建ての「TGV-Duplex(デュプレックス)」の後継車「TGV-M」は、本国のフランス国鉄以外に、旧型車の置き換え用としてユーロスターが導入を予定している。まだ営業開始に必要な認可を取得していない点は気がかりだが、ヴェラロの対抗馬として注目される。
「どの国も同じ車両」飽きるかもしれないが…
一方、高速列車の分野でコツコツと実績を積み上げているのが日立レールだ。今やトレニタリア最大のパートナーとして、その地位を確実なものとしているが、同社の看板車両である高速列車「フレッチャロッサ・ミッレ」の増備は現在も続き、つい先日も8両編成19本の追加受注が決まったばかりだ。現在は、トレニタリア(およびその関係会社)のみからの受注に留まっているが、その性能と汎用性の高さから、他国や他社からの注文が来る日も近いかもしれない。
趣味的な視点では、同じ形の車両ばかりを目にするのは少々飽きてしまうかもしれない。だが、製造や部品調達の容易さ、そしてコストなどの面から、今後もレディメイドの車両がヨーロッパの鉄道の主流となるのは間違いない。その中で、メーカー同士の熾烈な受注獲得競争、その先の生存競争が始まっていることも忘れてはならない。

