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トヨタ奥田氏とコマツ坂根氏が体現した「おかしな組織文化」の活用法、AI時代にこそ求められる「漢方薬経営」の神髄

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トヨタとコマツ
奥田碩氏と坂根正弘氏。2人の経営者がトヨタとコマツにもたらした変革の本質とは?(写真:ブルームバーグ)

INDEX

8月、日本のものづくり産業を長年牽引してきた2人の巨人が相次いで逝去した。8日にはトヨタ自動車・元社長の奥田碩氏が老衰のため93歳で、その2日後の8月10日にはコマツ・元社長の坂根正弘氏が85歳で、それぞれ息を引き取った。
くしくもほぼ同時期になくなった2人には共通する点が少なくない。いずれも、会社が経営不振に陥ったときに指揮を執り、業績を立て直している。しかも2人とも、外部から招かれた俗に言う「プロ経営者」ではなく、入社以来、何十年も社内でキャリアを積んだ「生え抜き」だった。
2人の名経営者の生きざまは、AI(人工知能)時代を生きる私たちに何を問いかけるのか。前後編にわたって考察してみたい。
前編:トヨタ奥田氏とコマツ坂根氏 名経営者を生んだ「左遷」と「海外行脚」、ジョブ型雇用では育たないゼネラリストの圧倒的価値
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組織を安定させながら変革を進める「漢方薬経営」

奥田氏と坂根氏が体現した「生え抜き専門経営者」の強みは、外部招聘型の「プロ経営者」と対比すると、より鮮明になる。

近年、多額の報酬や好条件を提示して外部から招く「プロ経営者」には、組織に新風を吹き込む期待が寄せられている。もちろん成功例もあるが、十分な成果を上げられないまま、多額の退職金を手にして短期間で去るケースも珍しくない。

外部の経営手法を持ち込む「特効薬」は、一時的な起爆剤になる反面、社員を疑心暗鬼にさせ、企業カルチャーを揺るがす副作用も伴う。これに対して、長年その組織で経験を積み、人間関係や企業文化を熟知した生え抜き経営者は、実績と人望を土台に、組織を安定させながら変革を進めることができる。いわば、「漢方薬」である。

往々にして「プロ経営者」と呼ばれるタレント経営者は、セルフブランディングやコミュニケーション能力に長け、「この組織文化がおかしい」と革命家のごとく創造的破壊をぶち上げる。就任から数年は目立つ物言いがメディアで扱われ注目されるが、古巣で通用した成功法則を強引に持ち込んでみても、結果的にうまくいかず、尻すぼみに終わるケースが少なくない。

その原因は意外にシンプルである。旧来のしがらみにとらわれない分、大胆な改革を進められると期待されがちだが、実際には「おかしな組織文化」はそう簡単には変わらない。むしろ、是々非々で変えるべきところは変えつつも、「おかしな組織文化」を真っ向から否定するのではなく、うまく利用しながら改革を進めるほうが、伝統的な日本の大企業では軋轢を極小化でき、効率的である。

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