タイパ重視の若者たちが「ゾス!」の熱狂に酔う不条理、経営学者は「ザ・ノンフィクション」炎上回をどう見たのか【前編】

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オフィスで円陣
オフィスで円陣を組み「ゾス!」という掛け声が響き合う中堅企業の光景にテレビの前が騒然となった(写真:zon/PIXTA)
多くの日本企業の入社式を目前に控えた3月22日と29日、日曜日の昼下がりに2週にわたって放映されたフジテレビ「ザ・ノンフィクション」の「今どきじゃない会社で夢みる 僕と私の新入社員物語」がSNSで炎上した。
海外進出・人材育成の中堅企業「グローバルパートナーズ(GP)」に密着した2週分の放送で注目されたのが、「押忍」を変形させた掛け声「ゾス!」で始まる全員唱和、目標未達者への厳しい叱責、全員でのダンス動画をSNS投稿する光景だった。視聴者の感想をSNSで見ると、「ブラック企業」と断じた内容が目立ったが、「これくらい厳しいほうが成長できる」と擁護する声もあった。
番組が描いた2人の新人社員の軌跡には、新入社員や彼らを迎えた経営者、中間管理職にも大いに考えさせられる現代的な課題が含まれていた。本稿では前後編に分けて分析してみたい。
後編:「ゾス!」の会社と起業ブームに共通する短期志向の陥穽
(外部配信先ではハイパーリンクや画像がうまく表示されない場合があります。その際は東洋経済オンラインでご覧ください)

2人の新人社員が映す「令和の企業戦士」像

「ザ・ノンフィクション」に登場した2人の新人社員のうち、電話で新規開拓を行うテレアポで頭角を現したGPの女性社員は、入社半年でチームリーダーに抜擢されたが、その直後から成績が急落。「いっぱいいっぱい」と涙を流した。

一方、入社から3カ月間、売り上げがゼロのままで、それが影響して同棲相手との関係も壊れかけた男性社員は、飲み会の席で山本康二社長から「もっと場を盛り上げてみろ」と叱責された。このシーンを一見すると、営業の基本を教え込む指導に見える。だが実態は、適材適所を考慮せず、1つの企業文化に合わせ込もうとする没個性化にほかならない。

社訓の唱和や特有の掛け声によって連帯感を高める行動を見ると、カルト宗教団体の儀式のようにも映る。見方を変えれば、昭和に見られた“企業戦士”の姿と変わりない。

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