ニューヨーク在住の認知症でない高齢者を追跡調査したところ、読書・ゲーム・授業受講といった知的な余暇活動や、友人・親族との交流といった社会的な活動を多くしていた人たちは、そうでない人たちと比べて認知症を発症するリスクが38%低かったことが示されています。
また、特定の活動の種類ではなく、さまざまな活動を組み合わせて参加すること自体が予防につながっていた点も注目されました。
人生を通じた経験が「脳の積み立て」となる
一方、ニューサウスウェールズ大学のヴァレンズエラとサクデフは、教育歴・職業の複雑さ・精神的に刺激の多い余暇活動に関する研究を体系的に整理したレビュー論文のなかで、知的に活発な生活を送ることが認知症の発症リスクの低下と関連していることを示しました。継続的で複雑な精神活動が、脳を守る「行動的な予備力」として機能するという見方を支持する結果だったといいます。
認知的予備力の蓄積は、遺伝や幼少期の環境だけで決まるものではありません。スカルメアスらが強調するのは、教育・職業・余暇活動といった人生を通じた経験が、能動的な予備力を形成するプロセスへの関与です。つまり、何歳からでも、積み立てを続けることができるといえます。
予備力を高めやすい活動とは、研究から浮かび上がる「多様性」と「継続性」という2つのキーワードです。大切なのは、少し負荷のかかる活動を日常に繰り返し取り入れることです。知的な挑戦と人との交流を組み合わせることで、認知的予備力を幅広く育てやすくなります。
1つの活動だけを繰り返すより、新しいスキルへの挑戦と対人交流を組み合わせることで、より広い範囲の神経回路が刺激されると考えられています。
●語学を始める
●楽器を練習する
●初めての分野の本を読む
●誰かと話す機会を意識的につくる
こうした「少し負荷のかかる活動」を習慣に組みこむことが、長期的な脳の健康を支える投資になります。老後に後悔しないための貯金を今から始めるように、脳のための「知的な貯金」もスタートさせましょう。



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