合理化の発想が進んでいるとも感じる。大きな駅では日本同様に東口と西口などがあって、駅があることで街が分断されていることもある。たとえば、ブリスベンの大きな駅で、駅の反対側へ行く方法を訪ねると、ICカード乗車券で入場して改札内を通り抜けても30分間は無料だと言われた。自転車でも通り抜けられる。日本では東西自由地下道や跨線橋を作り、自転車用スロープ、もしくは大きめのエレベーターなどが用意されるが、費用がかかり過ぎる。オーストラリアのように改札内の通り抜けを可能にするほうが簡単なのではないか。
筆者はシドニー、ニューカッスル、メルボルン、ブリスベン、アデレード、パースとオーストラリアにある全都市鉄道のほとんどの区間に乗車した。その結果感じることは、オーストラリアより日本のほうが鉄道ネットワークや鉄道技術は勝っているが、今ある施設を利用者本位にうまく利用しているのはオーストラリアのほうではないかということだ。オーストラリアを「鉄道の発達していない国」などと決めつけず、実際に体験してみることが大切と感じる。
長距離列車のエースは日本製振子電車
クイーンズランド州にも都市間特急列車がある。ブリスベン―ロックハンプトン間は電化していて日本製電車(日立製)が運行している。オーストラリアは広大な大地でカーブ区間は少ないと思われるが、意外にもカーブに強い振子式車両で、最高速度160kmの俊足である。ティルトトレインと呼ばれ「ティルト(Tilt)」は傾けるという意である。この電車にブリスベンから105km離れたナンブアまで乗車した。この間は前述の近郊電車も運行しているので0.5オーストラリアドルで行けるが、全席指定の特急列車だと39オーストラリアドルとなる。
座席は固定式で片道は進行方向とは逆向きに座るのかと思いきや、デルタ線を使って方向転換、または経路を調整して常に前向きに乗車できる運行だった(宇都宮から池袋経由で新宿に到着し、折り返し時は品川、上野を経由するような運転)。各座席にはイヤホン、売店車では軽食などが用意、手間をかけての運転だったので、運賃額は納得であった。
このほかケアンズまでを24時間以上かけて運転する「スピリット・オブ・クイーンズランド」は両端のディーゼル電気機関車が客車を挟み込む車両で週6便の運行である。
機関車の引く長距離客車列車も健在で、ともに内陸への夜行列車「スピリット・オブ・アウトバック」と「ウエストランダー」が週2便ずつ運行している。「スピリット・オブ・アウトバック」は強力そうなディーゼル電気機関車の3重連が長編成の客車を牽引、いかにもオーストラリアの大地を行く長距離列車の趣であった。
オーストラリア最大の都市シドニー行きの列車もあり、両端のディーゼル電気機関車が客車を挟み込むXPT(eXpress Passenger Train)で運行しているが、現在はブリスベン―カジノ間が大規模改修工事のためバス代行輸送になっている。XPTはイギリスの初代高速列車インターシティ125(時速125マイルの意で時速200km)と呼ばれたHST(High Speed Train)のオーストラリア版である。

