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「欧州史上最悪の猛暑」が、美食や観光、エネルギーインフラに落とした"想像以上に暗い影" イタリア現地の状況は?

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イタリア在住ライターが感じた「酷暑」が人々の生活に与えている影響とは(写真:coffeekai/PIXTA)

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イタリア暮らしが今年でちょうど30年の私は、今までずっと「夏には絶対一時帰国しない」と豪語してきた。というのも、イタリアが夏休みモードに入る6月は、仕事や子供の学校の都合で日本に一時帰国する人も多いが、1年で一番気持ちのいい季節でもあるからだ。

ジメジメとした梅雨はなく、空はブルーに澄み渡り、暑すぎず寒くなく、カラッとした季節は本当に気持ちがいい。そのせいもあって、エアコンの普及率はとても低かった。ほとんど必要がなかったからだ。

暑さによる超過死亡は1万人以上…欧州は「燃えるヨーロッパ」と化した

ところがここ数年、そうも言っていられない状況になっている。欧州の暑さが通常の暑さを超え、まさに「燃えるヨーロッパ」と化しているのだ。特に今年は、イタリア中北部やスペイン、フランス、イギリスで、5月の終わりに早々と35度を超える酷暑がやってきた。それは6月に入っても収まることはなく、6月22~28日のたった1週間の間に、欧州全体で1万人以上の暑さによる超過死亡があったという。

「6月にあんなに暑かったから、7月に入ったら、逆に落ちつくかもね」。イタリア暮らしの30年の間、毎年、耐えがたい暑さが続く日も一定期間はあった。だがそれをやり過ごせば、あとは欧州らしいカラッとした夏に戻るのが普通だったから、私はそんな予想を立てていた。だがそれは、まったくのハズレだった。7月に入っても、そして8月の後半を迎える今も、「今日は少し涼しいね」という日を時々挟んで、連日猛暑、いや、殺人的な暑さが続いているのだ。

今年初めて「(暑さが)来たか!」と実感したのは、6月のある夜のことだった。仕事を終え、夜の10時過ぎに帰途に就いた私は、車を走らせながら、街の風景がなんだかおかしいことに気がついた。よく見ると街灯が全部消えて、街がとても暗かったのだ。そしてなんと、信号も消えているではないか。衝突事故が起きないように、いくつかの交差点をそろそろと走り抜け、無事帰宅した時に、ああ、暑さのせいで停電、ブラックアウトが起きたんだな、と思い至った。

イタリアには原子力発電所がない。1987年の国民投票で原発廃止となり、今はお隣の原発大国フランスから電力を買っている。だから電気代はとても高いし、夏、急に暑さが襲ってくると、日本ほど普及していないとはいえ、持っている人全員がエアコンをフル稼働させるから電力が足りなくなって、あっという間にブラックアウトが起きると言われている。

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