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「欧州史上最悪の猛暑」が、美食や観光、エネルギーインフラに落とした"想像以上に暗い影" イタリア現地の状況は?

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イタリア在住ライターが感じた「酷暑」が人々の生活に与えている影響とは(写真:coffeekai/PIXTA)
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多くの人気ワインを輩出するランゲでは、今年、白ワイン用ぶどうの収穫が例年より10日から2週間も前倒しで始まったという。軽めの赤ワインを作る、ドルチェットやバルベラといったぶどうは、通常なら9月中旬から後半が収穫時期だが、今年は8月末には開始の予定だという。

そしてバローロ、バルバレスコなどを作るネッビオーロというぶどう品種は、かつては霧の出る10月まで収穫を遅らせ、糖度を最大値まで上げてから収穫していたためにフルボディの味わいが生まれた。だからネッビオーロ(イタリア語の霧=ネッビアから)という名があるのだが、そのネッビオーロも9月中旬ごろには熟してしまいそうな勢いだという。

問題は収穫時期が早まるという単純な問題だけではない。日中は畑の気温が40度近い高温に達するだけでなく、通常であれば肌寒いほど気温が下がるはずの夜間も暑いままなので、ぶどうの成分に異変が起きているというのだ。強烈な暑さのせいで、アルコールに変換するための糖度だけが爆上がりして酸度とのバランスが狂う、タンニンや香りの成分の生成が追いつかないという事態も起きているという。

この状況は数年前から深刻化していて、ワイン関係者たちの間では「将来的には美味しいワインはイギリスで生産、なんてことになるかも」「もうぶどう栽培は厳しいから、ワインはやめてsakeでも作ろうか」などという自虐的な冗談もまことしやかにささやかれている。

深刻なのはワイン業界だけではない。ランゲといえば、世界のグルメ垂涎の的、白トリュフの名産地でもある。だが美味しい白トリュフが育成する条件として、夏や秋の雨、そして秋にグッと気温が下がることが必須と言われているが、厳しい暑さのため、イタリアでは深刻な干ばつも起きている。こちらもワイン同様、白トリュフはもう取れなくなるから、サフラン(現在の名産地はイランやインド、スペインなど温暖な地方)でも栽培しようか、と嘆くトリュフ関係者も。

8月19日のトリノ。ポー川はアルプス山脈に源を発し、北イタリアの豊かな農地を潤しながらヴェネチア湾に注ぐイタリア最大の川。普段は右半分の黒く見える部分も水で覆われているが、酷暑による干ばつの影響で水位が劇的に下がっている(写真:筆者撮影)

影響はオリーブオイルにも

オリーブオイルはワインよりもさらに打撃が深刻だという。

本来、中部から南部イタリアの名産であるオリーブだから、暑さや干ばつに強いというイメージがある。実際そうなのだが、近年の異様な暑さはオリーブの木の生理的限界を超えてしまった。その影響で様々な問題が起きているという。

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