前回の記事で、あすか製薬ホールディングス(HD)と文化シヤッター、東邦HDの株主が買収防衛策の発動に賛成したのは、MBO(経営陣による買収)という行為に反対しているのではなく、MBOの条件が不透明であり自身の利益が害される可能性があるからだといった点を指摘したのだが、もう1つ触れておかなくてはならないことがある。
それは、「企業買収における行動指針」である。望ましい買収提案は価格だけで決められるものではないといった説明がなされたが、はたして経営者はこれを鵜呑みにしてよいのだろうか。そして株主構成が変化し、安定株主が減っていく今、買収防衛策のあり方を見直し、新たな発想の防衛策を構築すべきではないか。
経産省指針の注目ポイント
2022年11月に経済産業省は、公正なM&A市場における市場機能の健全な発展によって望ましい買収が生じやすくなることを目指し、「公正な買収の在り方に関する研究会」を立ち上げ、23年8月に経営支配権を取得する買収提案をめぐる取締役・取締役会の行動規範について示した「企業買収における行動指針」(指針)を公表した。
指針制定後、真摯な買収提案に対する真摯な検討がより一層実行されるようになり、指針が参照される場面が増えた一方、指針の趣旨が十分に理解されていない可能性が指摘されたことを背景に、26年7月、指針の趣旨がより適切に理解されるよう、「『企業買収における行動指針』の解釈について」「『企業買収における行動指針』のポイント」「『企業買収における行動指針』Q&A」が新たに策定された。
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