「荒れませんか」
「また前より悪くなりませんか」
私は言いました。
「荒れるかもしれません」
「でも、それはこころが壊れた証拠ではありません」
彼は、外に出ました。5分で戻りました。その夜、彼は荒れました。
「なんで出なきゃいけないんだ」
「先生なんて来なくていい」
母親は泣きそうでした。
「やらせなければよかったのでは……」
私は伝えました。
「疲れたんです」
「怖かったんです」
「でも、出られたんです」
1年間、彼の世界は半径数メートルでした。その外に、ほんの少しだけ足を踏み出した。脳もからだも、驚くのは当然です。
挑戦したという記憶が残ればいい
■「揺らぎ」を受け止める
ここで大事なのは、「揺れたこと」を失敗にしないことです。彼に、私は聞きました。
「どうだった?」
少し間があって、
「怖かった」
「でも、思ったよりは大丈夫だった」
その“思ったより”が、回復の種です。成功体験ではありません。「挑戦体験」です。成功はなくてもいい。挑戦したという記憶が残ればいい。それが次の一歩を支えます。


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