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深夜0時過ぎの紀伊國屋書店が大にぎわい…「本が読めない」のはあなたのせいじゃなかった?"パーティー型読書"を体験

9分で読める
夜中の紀伊國屋書店新宿本店
夜中の紀伊國屋書店新宿本店にひしめく人たち。夜通しの読書イベントに参加してみた(写真:筆者撮影)
  • 蜂谷 智子 ライター・編集者 編集プロダクションAsuamu主宰
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また、社会人になって読書量が減ったという別の参加者は、仕事の勉強で「読まなければならない本」が増えると、純粋に楽しむための読書が圧迫されてしまうと話した。

時間がない。スマホや動画にはすぐ手が伸びても、本を開いて物語に入っていくまでには時間がかかる。仕事で本を読むほど、趣味の読書から遠ざかる。

「本が嫌いだから読まない」のではない。「読みたいのに、読めない」のだ。では、そんな人たちが、なぜこの夜は本を開いていたのだろうか。

SNS時代でも、「本を読みたい」と思っている若者はいる

若い世代が「短く、速く、軽い」ものだけを求めているのかというと、そうではないようだ。

誘い合って神奈川から来た大学生ふたりは、普段から意識して読書の時間をつくっているという。その理由を尋ねると、「SNSよりも、本から得られるもののほうが多い」と感じているとのこと。

もちろん、本を読む時間そのものはひとりだ。この夜も、人工芝に座ったり寝転んだりした人たちは、それぞれ別の本を黙々と読んでいた。しかしひとりで読むことと、読書をひとりだけのものにすることは違う。

Xの告知を見て、神奈川から参加した大学生ふたり組。「読書が好きな人だと、友人になりやすい」そう。好きな作家をあげてもらうと「作家にかかわらず本を読む」としたうえで、江國香織と湊かなえをあげてくれた(写真:筆者撮影)

先の大学生のふたりは、人工芝で本を読む人たちを見て「自分以外にも本を好きな人って、こんなにたくさんいるんだ」と改めて感じたという。「本を読むという趣味を、大勢の人と共有できることが楽しい」とも話していた。

考えてみれば、読書はもともと、本を介して人とつながる営みでもあった。

同じ本を読んで感想を語り合う。誰かに薦められた本を読み、今度は別の誰かに薦める。本をきっかけに、自分とは違う考え方や人生について話す。

SNSによって、私たちは以前よりはるかに簡単に人とつながれるようになった。一方で、一冊の本を読み終えるまでには何時間もかかる。誰かとその感想を語り合うには、さらに時間が必要だ。SNSの速くて軽いコミュニケーションが増えるほど、読書を介した、時間のかかるコミュニケーションは日常から抜け落ちやすくなったのかもしれない。

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