この日行われていたのは、「新潮文庫の100冊」50周年を記念した「全国本屋パーティー(本パ)」のオープニングとして行われたオールナイトイベントだ。 入場料は3000円。開催時間は22時から翌朝6時まで。
筆者は25時頃まで滞在したが、深夜にもかかわらず書店に大勢の人がいる光景が新鮮だった。日付が変わってからも、夜の長さを楽しむように思い思いの場所で本を開く人たちの姿が目についた。
「本が読めない」といわれる時代に、なぜ人は、わざわざ真夜中の書店までやって来て本を読むのか。同イベントを取材するうちに、現代人の「本が読めない」問題の、解消法が見えてきた。
「本との出合い」のため、出版社と書店が“パーティー”をひらく
そもそも、なぜ本を読むために“パーティー”をひらく必要があるのだろう。
きっかけは、夏の文庫フェア「新潮文庫の100冊」が2026年に50周年を迎えたことだった。ただ、新潮社がこの機会に出会いたいと考えたのは、普段から書店に通う読書家だけではない。カルチャーやエンタメには興味がある。本も「読めるなら読みたい」。
けれど、何を読んだらいいかわからず、日々の選択肢に読書が入ってこない層——新潮社の広報担当者によれば、そんな「読書ビギナー層」に本との接点をつくることも、企画の狙いの一つだったそうだ。
そこで新潮社が考えたのが、“パーティー”だ。店内にはDJブースや人工芝を設け、ライブやトークイベントも開催する。企画段階から意識していたのは、「『いつもの書店とは何かが違う』と一目で伝わり、思わず写真を撮ってSNSで共有したくなるような空間」だったという。


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