押しきゅうりの酢の物は、厚めに切ったきゅうりと甘酢、細切りにした昆布をポリ袋に入れて重しをして冷蔵庫で冷たく冷やす。このときカットしたきゅうりの切れ端がおつゆのお星さまである。
先の枝豆の薄皮もそうだが、ここでは食材の無駄は出ない。すべて活用していただくのだという。
「甘酢を多めにして盛り付けて、最後に甘酢を飲み干すと、体の内側からスーッと涼しくなりますよ」
昆布は手が空いたときに料理ばさみで大量に切っておく。
そして、たくわん2切れ。噛んだときにポリポリと音が出ないように、片面に隠し包丁を入れている。このたくわんには大事な仕事があると、西井さんはいう。
「2切れのうち、1切れは最後まで残しておいて、食べ終わったらお椀やお皿をそのたくわんで拭ってきれいにします。それでお椀や器にお湯を注いで飲んでから、たくわんを食べて、食事が終わります」
いわゆる「健康的な食生活」とは逆行しているが…
西井さんは自身の食事を「残り物の寄せ集め」と称するが、そもそもが精進料理。肉や魚は使わず、旬の野菜や果物、豆腐、豆、ご飯などの穀類や海藻類を素材にした、とてもヘルシーな食事である。
とはいえ……。超高齢化社会となった現代では長い老後の健康を支えるために、シニアは積極的に肉を食べたほうがいいと説く専門家も多い。しかし、西井さんは当然ながらまったく肉を食べない。「食べたいとも思わない」という。


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