まずは青じそのおばん。「おばん」とは御所言葉でご飯のことだそう。青じそは境内の畑で採れた三光院産である。
「青じそを細かくみじん切りにして旬の濃い味と香りをいただくのだけど、ご飯にちょっと塩気が欲しいでしょ。でもお塩はご飯じゃなく青じそに混ぜ込むの。これが大事。そうすることで、しその香りもより引き立ちます」
茄子の枝豆和えは、茄子を縦半分に切って揚げて、冷めたら1㎝幅に切る。枝豆はさやから実を取り出して1粒ずつ薄皮をむき、よくすりつぶしてずんだを作る。
「今日のずんだは残り物。でも、茄子は揚げたてよ。自分が食べる物でもそのくらいはします(笑)。それからね、ずんだを作ったら、枝豆の薄皮も捨てずに使い切ります」
枝豆の薄皮も無駄なく「美味しい1皿」に
この薄皮を使って西井さんが作ってくれたのは、お酢を入れた白味噌で和えたもの。それだけで普通なら捨ててしまう薄皮がシャキシャキした歯ざわりが心地よい1皿になった。
これは先代の香栄住職が考案した料理で、薄皮が蝉の抜け殻のように見えることから、“空蝉”と名付けられているそう。「雅でしょ?」と西井さんが得意げにほほ笑む。
おつゆは、西井さんが早朝から3時間かけて昆布でとった出汁の残りを酒としょうゆで味付けをして、きゅうりの切れ端を星型にくりぬき、短冊に見立てたくずきりを浮かべている。
取材の日は7月8日だったが、「これは七夕のおつゆです。季節感を大事にすることも竹之御所流ですから」と西井さんがにっこり笑う。


※ログイン後、コメント入力が可能です。